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真・まうんてんの宿屋

フィドル奏者 井上陽介のBlog。福岡近郊のパブに出現。なんか最近やきうネタ増えた。

The Chieftains 11.27 -Live

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伝説とすら言える彼らは何の飾り気も、ショウビズ臭さを感じさせることもなくさり気なく現れた。
"Ladies and Gentlemen~! This is ○○! This is ○○~!"なんてMCが鳴り響くこともなく、照明の演出がスターの出現を告げることもなく、「よっこいせ」とでも言わんばかりの着の身着のままで現れた。
別にショウビズらしい華々しい演出で登場することがよくないだとか、そういう哲学でやってるわけではないだろう(全くないとも言えないが)。そもそもこれまでの経歴を考えればバブル期の結婚式ばりにド派手な演出で登場してもいいくらいのレジェンド達である。このやり方がチーフタンズの、というよりもアイリッシュらしいというべき点なのだろう。

パディ・モローニがパイプを少し鳴らし、その後始まったチューンはまさに圧巻というべきものだった。エッジの効いたプレイを聴かせる二人のフィドラーは若いメンバー。老練さと若さの双方を兼ね備えたその音楽はまさに2012年型チーフタンズと呼ぶに相応しい。
ケヴィン・コネフはバウロンを叩いたと思ったら前に歩み出て、ポケットに両手を突っ込んだまま味わい深い歌を歌う。ちょっと軽く一曲、と言わんばかりの風情で実に染みる歌を歌う。


フィドルは二人いて、一人はジョン・ピラツキ。ハープのトリーナと後述するネイサン・ピラツキとTreadというバンドもやっていて、そのプレイの凄さは既に自分には焼きついていた。


ライヴ・フロム・マット・モロイズライヴ・フロム・マット・モロイズ
(2007/04/08)
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以前も取り上げたTreadでの凄まじいプレイを知っているだけに、今回のステージでも注目していたが、期待に違わぬ、いやそれ以上のフィドラーだった。上記CDでプレイしていたチューンも取り上げていたが、そのエッジの効いた激しいプレイから思わず聴き入ってしまうような繊細な音まで、実に振れ幅の多いプレーヤーだと思う。以前クラシックの素養があるのではないかと書いたが実演を見てみると指弓やスピッカートなどクラシカルな技巧も駆使して演奏している。
ブログ主はフィドルでチョッピングをする際に「ウィリアム・テル序曲」の行進曲で用いられるようなППVというボウイングを使ってみようと試行錯誤しており、まぁ他に考え付いてるやついそうだなぁと思ってたら目の前におったorz
もっとも「ウィリアム・テル」で使われてるようなソフトなスタッカートではなく弓を上から叩きつけるようなスタイル。打楽器的なリズムを叩きだすならこのスタイルが合理的だし、ブログ主もそういうアクティヴな方向性で考えていたので非常に参考になった。最も力任せにやればリズムを維持することは不可能なのでその点は注意しなければならないだろう。

ダンサーは2人。そのうち一人ネイサンはフィドラーのジョンの実の兄弟だ。彼の踊りがこれまたラフで、ダイナミックでとても素晴らしい。また東京パイプバンドのバグパイパーがゲスト参加。チーフタンズに負けない迫力のあるパイプを聴かせてくれる。

そして、舞台は佳境に入り"Mo Ghile Mear"がプレイされる。皆が楽器を弾きながら大合唱する。アルバム"Long Black Veil"ではスティングと共にこの歌を歌っており、そしてアイルランドの音楽を始めようと思った私が最初期に触れたものだった。
その哀愁と荘厳さが同居する空間で、気が付けば目頭が熱くなるのを抑えることができなくなっていた。チーフタンズというバンドにとって、そしてケルト文化圏にとってこの曲はどれほど重いものなのだろうか。そして、私にとっても大きな、とても大きな意味を持つ曲だ。
その直後にストーンズの"Satisfaction"のリフがプレイされたのは笑ってしまったがw


Long Black VeilLong Black Veil
(2005/01/04)
Chieftains

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更に話題は飛び、最新アルバム"Voice of Ages"に収録されている"The Chieftains in Orbit"という曲の話になる。"Orbit"とは軌道、すなわち地球周回軌道などの軌道のことを指す。キャディ・コールマンという宇宙飛行士が国際宇宙ステーションでパディのティン・ホイッスルを吹き、それに合わせて録音されたカロランのチューンらしい。



は?




そして無重力の宇宙空間でゆらゆら漂いながら笛を吹き始める宇宙飛行士の映像が流され、それに合わせて生演奏を始めるチーフタンズのみなさん。
いや、ちょっと、え?何?と思ってるうちに曲は"Fanny Power"から"Carolan's Concerto"になだれ込み、ジョンがトレッドでも聴かせた怒涛のフィドルを炸裂させる。
宇宙て。なんかエラいことになってんな。


Voice of AgesVoice of Ages
(2012/04/19)
Chieftains

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最後はステージ袖から関係者の皆さんがダンサーのキャラに手を弾かれて登場。と、彼らは客席に降りてきた…と思ったら客席に「ダンスに加われ」とパディのMC。
基本的に踊りは苦手。どーしよっかな…と思って周りを見渡してみると知り合いの皆さんは立ち上がり臨戦態勢を整えていた。
ここで行かなかったらヘタレ呼ばわりされそうな危険を感じるブログ主。一応ちょろっとダンスならったし、行けるやろ!ということで突撃。みんなでステージに上がって踊っちゃったとさ。

それはいいけど、リアルに息が上がってしまったブログ主。救いはあのブザマな姿が後悔されることはないであろうことである。
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