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真・まうんてんの宿屋

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リバーダンス観たよ!Part 3

  • CATEGORY旅行
  • PUBLISHED ON2013/ 09/ 13/ 23:57
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休憩を挟んで第2部。超自然的なものとの関わりが主題であった第1部に対し、時代は一気に19世紀へと飛ぶ。
この時期、アイルランド人の多くが移民としてアメリカやオーストラリアに渡るのである。

ジャガイモ飢饉

当時のイギリス政府の無策、というよりは見捨てたとすら言える政策だろうか?
100万人近くの人が亡くなり、200万人もの人が移民という道を選んだ。
紳士の国、などと名乗るイギリスの傲慢さについてはここではあえて触れないが。

リバーダンスは、ことさらに悲劇性を強調はしない。
旅立つ若者たちの、恋人たちの別れのダンスパーティの場面から第2部は始まる。
輪になってリールを踊る若者たち。その興奮はやがて急速なポルカへと展開する。
その後に歌われる"Lift the Wings"は思わず聴き入ってしまう。
その後再び急速なポルカを踊って幕となる。

ポルカについてだが、今回のフィドラーは抑制したプレイをしていた。最も有名なのは、やはりアイリーン・アイヴァースのバージョンだろうが、彼女はエレクトリック・フィドルを駆使した豪快なプレイをこの"American Wake"でも披露していた。単純に聴いてスカッとできるのはアイリーンのプレイだが、祭りの後の哀しさを表す、という意味では今回のように抑制の効いたプレイが正解なのかもしれない。
また、フィドラーやヴォーカルも今回は街娘風の衣装を身につけており、ダンサーだけでなくプレーヤーも舞台に一体化させようという意図を感じた。これはとても効果的だったと思う。

"Harbor of the New World"はメインヴォーカルは黒人が担当する。涙なしには聴けないナンバーだ。
黒人に対する人種差別は有名であるが、アメリカに於いてはアイルランド人もまた、「白い黒人」と揶揄されるほどに差別された人種である。今でこそアメリカ合衆国大統領にアイルランド系が選出されるのはさほど珍しいわけではないが、WASPではない、アイルランド系でありカトリックであったケネディが大統領に選ばれたのは衝撃であったのだ。

新大陸の街中でタップを踊る黒人と、アイルランドのダンスを踊るアイリッシュの対決はとてもユーモラスだ。最初はお互い敵意丸出しで「俺の方が上だ!」とやりながら少しずつ認め合っていく様はどこぞの少年ジャンプだ!?と突っ込みたくもなるが実に王道だと思うw
何よりも重要なのは、アイルランド音楽から発展したカントリーと、黒人音楽から発展したブルースはこの100年後に融合し、新たな音楽ジャンルを作り上げるのである。それはやがてイギリスに伝播し、アイルランドの血を引く若者たちはその音楽で世界を変貌させるまでに至るのだ。その始まりを示唆しているかのようで、非常に興味深い。

その後は再びフラメンコ・ダンサーやロシアの熊ロシアンバレエダンサーが現れ、アイルランド音楽とそれぞれの国の音楽が融合した音楽を踊る。フラメンコダンサーの全身を使った表現は凄まじい。オケ時代の後輩で習い始めた子がいたけど、やりたくなる気持ちも分かるw
バレエダンサーはアイリッシュダンサーと組みながら縦横無尽にステージを駆けるのだが、「バレエは重力を超越することが目的である」という言葉を実感させられた。
男性リードダンサーも無伴奏のソロで現れ、超絶とすら言えるタップを見せつける。ダンスのことにはまるで詳しくないブログ主だが、「究極」という言葉すら脳裏に浮かぶ。

"Home and the Heartland"。ついにアイルランド人の魂は故郷へと戻る。もはや言葉には尽くせぬものがある。
ブログ主は日本人だ。故郷を失ったことはない。それをとてもよかったと思うと同時に、故郷を失う苦悩を乗り越えた人たちに対する畏敬の念は尽きない。だからこそ、彼らの自国の文化に対する拘りはここまで輝くのだろうか。

そんなことを考えながら、ショウはフィナーレを迎える。
今まで出てきたダンサーやミュージシャンがソロを取りながら、舞台は大団円へと向かっていく。
観客は取りつかれたように立ち上がってスタンディング・オベーションを送る。
そこには、圧倒的とすら言える歓喜があった。

riverdance.jpg

リバーダンス、DVDで何回か観ているし、サウンドトラックはそれこそ何回も聴いているのでだいぶ頭に入ってはいる。今回の公演において、そこまで極端な演出の変化というのは見当たらなかった。個人的には第2部以降はちょこちょことトラッド・チューンを導入しており、よりトラディショナルへの接近を図ってるのかなぁ、という印象はあった。後半にフィドル・ソロのエアーが入るのだけど、今回は"The Coulin"がプレイされていた。Coulinはブログ主も愛奏するナンバーなので印象に残りましたw他にもリールなどでトラッドチューンが使われていた。

上演内容にさほど変わりはない、となるといずれは観客も減っていくんではないかと考えてしまうが、初演から既に18年もの年月が流れている。にも関わらず金曜日のガイエティ劇場は満員であった。近々ドイツ公演なども控えており、ある意味ではスタンダードなショウへと変化しているのかもしれない。ミュージカルで言えばオペラ座の怪人やCatsのように。

ミュージカル、という例を上げたがこの「リバーダンス」は単なるダンス・パフォーマンスに留まらない明確なストーリー性を併せ持っており、言葉がなくともアイルランドに関する知識が多少あればどういうストーリーなのかを把握することができる。アイリッシュダンス・ショウは他にも二つほど見たことがあるのだが、ハッキリとしたストーリーを展開しながらダンス・パフォーマンスを披露しているのはリバーダンスだけだった。

いずれにしろ、「リバーダンス」はもはやアイリッシュダンス・パフォーマンスの中では古典的な作品へとなりつつある。これから先も、きっと愛され続けるだろう。これに触発されて新たなパフォーマンスが産まれて、切磋琢磨を続けていくと思う。

本当に素晴らしいステージだった。日本に来ないことが本当に惜しまれる。願わくば、今すぐでなくともいいからアイリッシュの魅力を伝える為にも再び来日してほしいと思う。


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