真・まうんてんの宿屋

アイリッシュフィドルを演奏しています。福岡近郊のパブに出現。なんか最近やきうネタ増えた。

マリア・ライへの伝記

ちょこちょこ見に行くブログで紹介されていた、マリア・ライへの伝記。
それを見るまで彼女のことなんて知らなかったのだけど、ナスカの地上絵の研究と保護に尽力した方だったそうだ。

ナスカ・砂の王国―地上絵の謎を追ったマリア・ライヘの生涯 (文春文庫)ナスカ・砂の王国―地上絵の謎を追ったマリア・ライヘの生涯 (文春文庫)
(2006/02)
楠田 枝里子

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Kindle版を購入。iPhone 6 Plusで読んだのだけど、これほどの画面になれば文庫を読むには困らない。
そして、注目すべきは著者の名前w多分みなさん御存じの、あの方ですw世界丸見えってかwww

この本に出てくる女性たちはみな行動的で、これだ!と思ったことは真っ直ぐ、ど真ん中に直進していく。
主人公というべきマリア・ライへももちろんそうだし、その妹もだし、そして著者の楠田女史もだ。
もはや世の男性諸君は「お、おう…」とたじたじになる他はないw

ナスカの地上絵について専門知識は全くなかったブログ主だけど、読んでみていかに繊細な遺跡なのかということは何となくではあるけど伝わってきた。情報源によってニュアンスは異なるのだが、「絵」になっている溝はとても浅いものだそうだ。というよりも石をちょいちょいどけただけのものなので自動車や人が入ってしまうと簡単に消えてしまう、繊細なものらしいのだ。
スニーカーで入る奴は死刑級のバカだ、ということがよくわかる。
70年代のオカルトブームでUFOの発着場だと信じたラリった連中が大挙して訪れてかなり荒れてしまって、保護するためにものすごい苦労をしたらしい。
いつの時代もバカは迷惑しかかけないことを再確認。

この本は地上絵について研究されたものではないのだが、わざわざマリアの生涯を調べる為に統一前の東ドイツに飛んでえらい目にあったり、ペルーでも車のガソリンが切れてえらい目にあったりするのを読むのはブログ主のようなライトな遺跡ファンにはちょうどいい気がする。著者が地上絵とその守り神とも言うべきマリアに対して真剣な目線を向けているので、本当に楽しく読める。ライト向け、とは書いたけど本当にその真摯な姿勢には頭が下がるし、コアなファン?も読むと新たな発見があるかもしれない。

マリアの説である「星座を地上に写し取ったものである」という説は、なんというか。とてもロマンティックであるし、古代人と星々との関わりをリアルに感じさせてくれて、心がワクワクする。
猿の絵は日本でも有名なある星座、というかアステリズムを指しているのではないか、という説。その星座がナスカで見える時、彼の地に雨季が訪れるというのは、もうなんというか。大好きですこういう話w

この本のメインになる時代は1980年代半ばだと思われるが、よくあの時代にペルーや旧東ドイツに行ったものだ。
当時ペルーはシャレにならない高インフレが続いていたし、センデロ・ルミノソなどの左翼ゲリラが跋扈していた時代だ。
テロで電気施設が破壊されて首都リマが停電4日目など、シャレにならない記述はけっこう出てくる。
フジモリ大統領(当時)がセンデロ・ルミノソを壊滅するまで、常にペルーはテロに怯えていたし、その後も日本大使館がテロリストに占拠された事件は覚えている方も多いのではなかろうか。
エジプト行きたいけどテロ怖いからなーとか言ってるブログ主には、もはや楠田さんは勇者だw

マリアの前半生を追って入国した旧東ドイツについての記述も、今となっては率直に政治背景抜きで語られる当時の貴重な記録と言える。密告だとか、裏切りだとか、そういったものに常に怯えながら暮らす、というのはどういうことだったのだろう。はるばる遠い国から訪ねてきた人に対し、好意を表面に出せないとは、一体どういうことなのだろうか。

こういう部分の記述を見ると、やっぱり日本って何だかんだ言っても幸せな国だと思う。
新聞を開くと政治への批判がない日はないのだが、それが許されている国は少ない。あんまり文句ばっか言ってるのも、贅沢になれてしまって無神経かつ無遠慮になっているのかもしれない。そんなことを考えてしまった。

地上絵に興味のある方にはもちろん、旧東ドイツやベルリンの壁崩壊について知りたい人にも何気におススメの一冊だw素直に面白かったと思う。

今は亡きマリア・レナーテ姉妹に想いを馳せ。
そして、この宝がこれ以上汚されないことを祈りつつ。
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