真・まうんてんの宿屋

アイリッシュフィドルを演奏しています。福岡近郊のパブに出現。なんか最近やきうネタ増えた。

アイリッシュのスケールについて Part2

Part1の続きです


D Mixolydian
D Mixolydian
通常のDと違い、第7音C#が半音下がってナチュラルになっている。その為少し影のあるキーだ。
アイリッシュでこのキーが使われる場合はCとC#が混在していることもある。
"Old Bush"や""Banish Misfortune"などがこのキーとなる。
CがナチュラルになっているのでG Majorと誤認しやすいので注意が必要だ。

同様にAにもMixolydianがある。その場合、G#→G♮となる。この場合、G#とG♮が混在することはあまりない。
"The High Reel"、"O'Rourke's"など。

GのMixolydianは見たことがないような気がするが…。あったら教えて下さいw




A Dorian
A Dorian
ドリア旋法はミクソリディアと同じく教会旋法の一つ。通常のナチュラル・マイナースケールと違って第6音Fが半音上がってF#となっている。"The Gravel Walk"、"The Lilting Banshee"などがこのスケールに拠っている。
余談だがアイリッシュで「A minor」と呼ぶ場合はこのキーを指すことが多い。




E Dorian
E Dorian
Eを主音とするドリア旋法。やはり第6音CがC#へと半音上がっている。A Dorianよりも低音を用いる傾向が強いせいか、重心の低いチューンが多い印象がある。
"Drowsy Maggie"や”"Morrison's"などがこのキー。




最後に、モーダルではないがナチュラル・マイナースケールのキーを紹介する。

B minor
B minor
ナチュラル・マイナースケールはけっこう珍しいが、このB minorだけは例外で比較的よく出てくる。
"The Musical Priest"などで使われている。

マイナー系では他にはD minorがたまに出てくる。"Tam Lin"などは非常に有名なチューンだろう。
しかし、D minorはB→Bb、F#→F♮になるのでノーマルなホイッスル・フルートでは演奏が非常に困難になる。
笛系のミュージシャンがいる場合は出すと白い目で見られることも…。


ざっくり言ってしまうと、ポイントとしてはCにシャープが付いてるかどうか、というところでまずは見分けがつけられる。
D(あるいはコードの構成音であるF#やA)などでチューンが始まるならばD系の可能性が高い。
C#でなおかつG♮ならほぼD Majorとなる。
ベース音やコードではDだけどCがナチュラルならD Mixolydianだ。
G系のチューンだとしたらGのベースかコードが嵌まるはず。
A DorianならAとEが嵌まるし、E DorianならBとEが嵌まる。まずはそこから判断すればある程度見分けられると思う。


もちろん、アイルランド音楽においても他のキーは存在するが、これらのキーを抑えておけばとりあえず問題はない。
たったの7個。クラシックのようにやれ嬰ハ短調だ変ニ長調だ、などとシャープやフラットが5個も6個も付いたキーが…なんてことはあまりない。
後はチューンの冒頭部分に合うベースなりコードを探っておけばキーは確定できる。
もっともチューンの途中でキーが変わるものもあるので油断は大敵だが。
また、このキーはこういうチューンが多い、ということを意識しておくことで各キーの持つキャラクターをある程度把握できるのではないかと思う。

D minorの項目で演奏が難しい楽器がある、ということを書いたが、アイルランド音楽は守安功氏が著書にて記している通り、「全員参加」が一つの原則となる。ここにキーがある程度限定されている理由があるのでは?という気がしている。
現在ならば様々なキーのホイッスルを手に入れることは容易だろうし、現在のフィドル奏者はおそらくある程度のキーに対応できると思う。だからと言ってほいほい他のキーのチューンを作るのは、そういった意味で何かが違うのだろう。


最後に、Michael Colemanのプレイを聴くと上記のスケールから逸脱した音の取り方が散見されることは記しておきたい。
現代の演奏ではあまりそのような例は聴かないが、「古き良き時代」ではキーの捉え方も少し違ったのかもしれない。
或いはある程度クラシカルな音階にアイリッシュの方が接近したということなのかもしれない。
それがよいことなのかどうかは、何とも言えないところがある気がしている。
スポンサーサイト

 フィドル奏法

0 Comments

Leave a comment